先日の Developer Summit でのプレゼンに失敗して、すっかり意気消沈している開発部 川野です。
この度、弊社エンジニアの大谷、土江、稲垣、私、そして NTT レゾナント株式会社の森本恭平さん、フリーエージェントとして活動されている高岡大介さんの 6 名で、Sencha Touch の解説本を執筆しました。今月の 27 日、アスキー・メディアワークス様より出版します。
本の紹介
本のタイトルは「HTML5 モバイルアプリケーションフレームワーク Sencha Touch パーフェクトガイド」です。長いタイトルと一部で不評ですが、私は気にしていません。
書籍では Sencha Touch の導入から、フレームワークの基本構成、そして実践的なアプリケーションの開発方法までを扱っています。タイトルの「パーフェクト」の言葉通り、Sencha Touch に関する一通りのトピックを網羅しています。
以下、目次です。
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- 第1部 Sencha Touch の概要 - 第1章 イントロダクション - 1.1 ネイティブアプリケーションの終焉 - 1.2 はじめよう、Sencha Touch - 1.3 本書の構成 - 1.4 ソースコードのダウンロード - 第2章 開発準備 - 2.1 開発準備 - 2.2 Sencha Cmd - 2.3 Hello, World アプリケーション - 第3章 はじめての Sencha Touch - 3.1 モデル - 3.2 ビュー - 3.3 コントローラ - 第2部 Sencha Touch の基本構成 - 第4章 クラスシステム - 4.1 クラス定義 - 4.2 コンストラクタ - 4.3 コンフィグ - 4.4 インスタンス化 - 4.5 継承 - 4.6 オーバーライド - 4.7 ミックスイン - 4.8 シングルトン - 4.9 静的メンバ - 4.10 別名 - 4.11 依存性管理 - 4.12 めとめ - 第5章 コンポーネント - 5.1 コンポーネント概要 - 5.2 配置 - 5.3 検索 - 5.4 生成・描画・破棄 - 5.5 まとめ - 第6章 イベントシステム - 6.1 イベントシステム概要 - 6.2 イベントリスナ - 6.3 リスナオプション - 6.4 独自イベント - 6.5 タッチイベント - 6.6 まとめ - 第7章 データパッケージ - 7.1 データパッケージ概要 - 7.2 モデル - 7.3 ストア - 7.4 プロキシ - 7.5 まとめ - 第8章 リストとテンプレート - 8.1 リスト - 8.2 テンプレート - 8.3 まとめ - 第9章 アプリケーション - 9.1 アプリケーション - 9.2 コントローラ - 9.3 ルーティング - 9.4 プロファイル - 9.5 まとめ - 第10章 Sencha Touch デザイン概論 - 10.1 環境の構築 - 10.2 Sass の基本文法 - 10.3 Compass について - 10.4 Sencha Touch でのデザイン変更について - 10.5 まとめ - 第11章 ネイティブパッケージング - 11.1 パッケージング - 11.2 ネイティブパッケージングの流れ - 11.3 iOS アプリケーションの作成について - 11.4 Android アプリケーションの作成 - 11.5 ネイティブ API - 11.6 まとめ - 第3部 実践 Sencha Touch アプリケーション開発 - 第12章 プロジェクト開始 - 12.1 開発するアプリケーション - 第13章 CRUD - 13.1 表示(Read) - 13.2 作成(Create) - 13.3 更新(Update) - 13.4 削除(Delete) - 13.5 ルーティングとヒストリー - 13.6 URL の変更 - 第14章 カスタムコンポーネント - 14.1 カスタムコンポーネントとは - 14.2 Sencha マーケット - 14.3 カスタムコンポーネントの名前空間 - 14.4 ファイルパス - 14.5 電卓コンポーネント - 14.6 Dropbox プロキシ - 第15章 Sencha Touch Charts - 15.1 Sencah Touch Charts 概要 - 15.2 図形描画の基礎 - 15.3 グラフの基礎 - 15.4 家計簿アプリケーションへの組み込み - 第16章 アプリケーションの仕上げ - 16.1 タブレット用画面の実装 - 16.2 アプリケーションのリリース - 16.3 まとめ - 著者紹介 - 付録A 標準コンポーネントひとめぐり - A.1 コンポーネント - A.2 コンテナ - A.3 リスト - A.4 フィールド - A.5 その他 |
この本を読み終える頃には、「Sencha Touch のアプリ、作れますよ!」と自信を持って言えるようになると思います。
エンタープライズ・モバイルアプリ
アリエルでは、自社製品 Ariel AirOne Enterprise のモバイル機能を Sencha Touch を使って開発しています。今回の執筆を終えて、「やはり Sencha Touch は、エンタープライズ向けのモバイルアプリケーションの開発に適している」という思いを強くしました。
元々、モバイル端末向けの業務アプリは、ネイティブではなく、ウェブで提供する方がメリットが多そうです。Objective-C や Android 向けの Java に長けたエンジニアはそれほど多くはいなそうですし、対応するプラットフォームが増えた場合(例えば、Windows Phone 対応)の負担も大きいでしょう。その点、Web アプリであれば、同一のソースコードで対応できます。技術者の確保も比較的容易に思われます。また、セキュリティ的な観点からも、端末にデータを残さない Web アプリの方が安心感があります。
それに加えて、Sencha Touch には、以下のような特徴があります。
メンテナンス性に優れている
Sencha Touch では、アプリケーションを MVC(モデル・ビュー・コントローラ)のアーキテクチャに従って構築します。また、「クラスベース」のオブジェクト指向プログラミングができるよう、独自のクラスシステムが用意されています。これらの仕組みは、複雑なプログラムを見通しよく構築でき、機能追加を容易にしてくれます。保守期間の長い業務アプリでは、ありがたい特徴です。
データを扱うための機能が豊富
Sencha Touch には、「データパッケージ」というデータを簡単に扱うための一連の機能群があります。また、リストやチャート、入力フォームなどデータを表示・操作するためのコンポーネントが充実しています。業務アプリでは主にデータの管理がメインのため、これらの機能はすぐに役立ちます。
サポートが充実している
Sencha Touch の特徴で、開発者へのサポートが充実している点も見逃せません。高機能な API ドキュメントだけでなく、無料の学習教材(動画・チュートリアル・サンプルアプリ)が多数用意されています。また有償のサポートもあります。業務アプリの開発はチームで行うことがほとんどですが、こうした資料は教育にかかる負担を下げてくれるでしょう。
エンタープライズ向けのアプリ開発に適している点を強調しましたが、もちろん一般消費者向けのアプリ開発にも Sencha Touch は頼りになります。通常の Web アプリとして提供する以外に、ネイティブアプリにパッケージングして、App Store で iOS アプリとして、Google Play で Android アプリとして配布することもコマンドひとつで可能です。Sass・Compass をベースに作られた独自のテーマシステムも、魅力的なユーザーインターフェイスを作るのに便利です。
今後、業務アプリケーションのモバイル対応ニーズは高まると予想されています。実現する技術を選定する際は、ぜひ、Sencha Touch も候補に加えて頂ければと思います。そして採用が決まったら、拙著「Sencha Touch パーフェクトガイド」のご購入を、何卒よろしくお願いします。
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