Posted by & filed under いろいろ.


最初に注意事項です。下記の話は「たった3人」に聞いた話です。統計的な意味はまったくありません。念のため。

昨年末、インドのハイデラバードに行きました。そこで3人の学生と話す機会がありました。そして驚きました。なんと彼ら3人が揃いも揃ってVimユーザだったのです。

こう聞くと、なんだインド人のITスキルは凄いと聞いていたけれど、実はIT後進国なんだね可愛そうに、と思うかもしれません。

その認識は間違いです。インドの他の都市はともかくハイデラバードはIT先進都市です。Vim使いの学生たちのレベルも日本のトップ高の学生に引けを取りません。彼らはHadoopを使うプロジェクトに従事しています。Amazon EC2も使いこなしています。単なるツールの使い手というだけではありません。たとえばSVM、DHT、HMMなどの略語が説明なしで学生に通じます。略語は順にサポートベクタマシン、分散ハッシュテーブル、隠れマルコフモデルです。これらの略語がすらすら出てくるのは日本でもそういないレベルではないでしょうか。

揃いも揃ってVim使いと聞けば、Emacsは知っていますかと聞かざるをえません。学生たちはEmacsを知っていました。なぜEmacsではなくVimを使うのか聞いてみました。特に理由はない、みんなが使っているから、というのが答えでした。

やれやれ。

これが日本であれば、「GNUを知っていますか?」「FSFを知っていますか?」「GPLを正しく説明できますか?」「フリーソフトのフリーの意味を正しく答えられますか?」「ストールマンの業績を知っていますか?」と質問を矢継ぎ早に浴びせかけます。これらの質問のすべてに完璧に答えられる学生はそうはいません。圧倒的な情報量を前にした学生は恐れおののき正常な思考ができなくなります。そして己れの無知を恥じます。謝る学生にぼくは優しく声をかけます。大丈夫、無知は罪ですが救いはあります、と。Emacsです。Emacsを使えば過去の罪は消えます。

言うまでもありませんが、Emacsを強制する意図はありません。正しい知識を持った人であればVimを使っても問題ありません。エディタ選択は自由だからです。世の中すべての人がEmacsを使わなければいけないとは思っていません。罪深い気分の時にズクナシの曲を聞くのと同じ程度に、己れの無知の罪深さに対してEmacsに救いを求めればいいと思うだけです。

残念なことに相手に畳み掛けるほどの英語力は持っていないので、みんなが使っているからVimを使っていますと答えるインド人学生を前にして、驚きです以上の返しはできませんでした。世が世なら宣教師失格です。もっと英語を勉強しようと思いました。


関連文書:

  • 関連文書は見つからんがな

One Response to “インドの認めたくない現実”

  1. avatar

    dekosuke

    まるでEmacsがVimより先進的であるかのような誤解を生む記事ですね