同僚の深町さんと「モダンCommon Lisp」シリーズを初めることになりました。今回はCommon Lisp処理系のインストール方法について解説します。
どの処理系を使うか
Common Lispには処理系が多数存在するため、プログラミングを初める前に、まずどの処理系を使うか決めなくてはなりません。商用ならAllegro CLでほぼ一択のようですが、お金がかかりますし、プロプライエタリソフトウェアですから、今回は候補から除外します。
無料で手に入る(フリーな)処理系としてはSBCLが有名です。多くのライブラリでサポートされている処理系であり、コンパイラの品質が高い(速いコードが生成される)という強みを持っていますが、スレッドサポートがかなり怪しいらしく(未確認)、またコンパイルに非常に時間がかかるという問題を持っています(開発のテンポに影響)。
SBCL以外には、例えばCLISPなどがありますが、今回は深町さんに教えてもらったClozure CLをおすすめしようと思います。
Clozure CLは、SBCLほどではないにしろ、多くライブラリでサポートされている処理系であり、また元々のサポートの対象であったDarwin系のOS以外にも、GNU/LinuxやFreeBSD、Solaris、Windowsに対応しています。深町さんはMac OS X 10.6で、僕はUbuntu 10.10でClozure CLを使っていますが、今までで致命的な問題になったことはないです。また、SBCLに比べて非常にコンパイルが速いのも重要な利点です。ただ、生成されるコードの品質はそれほど良くないので、開発時はClozure CL、運用時はSBCL、という使い分けが良いと思います。
Clozure CLをインストールする
現在での最新安定板はv1.6です。一応、次のURLから最新版を確認してください。
ここではGNU/Linux x86_64にClozure CL v1.6をインストールする手順を説明します。Mac OS Xでもほぼ同じ手順でインストールできると思います。
まず~/opt
にリリースをダウンロードします。
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$ mkdir -p ~/opt $ cd ~/opt $ # Mac OS Xならdarwinx86 $ # Linuxならlinuxx86 $ # 詳しくは上記URLを参照 $ svn co http://svn.clozure.com/publicsvn/openmcl/release/1.6/linuxx86/ccl |
ccl
ディレクトリが作られ、その中に32bit用と64bit用の実行可能ファイルが置かれます。なぜSubversionなのかというツッコミはやめましょう。
32bit用と64bit用で実行可能ファイルの名前が異なるので、簡単なラッパースクリプトを作ります。次のURLから取得してください。またCCL_HOME
は適宜書き換えてください。
https://gist.github.com/858238
このスクリプトをPATH
環境変数の通ったディレクトリにccl
という名前で保存します。ここでは~/bin
に置きます。
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$ cp ccl.bash ~/bin/ccl $ chmod +x ~/bin/ccl |
最後にターミナルでccl
を起動して、正しく動作すればOKです。
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$ ccl Welcome to Clozure Common Lisp Version 1.6-r14468M (LinuxX8664)! ? |
次回はQuicklispのインストール方法について解説します。
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