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 自分が所属する研究室の教授はとってもお忙しい。「その教授が学内を歩いて移動することは無く、どこに行くにも常に走って移動している」というのは、学生の間では有名な話である。
 そんな教授の貴重な時間を蝕む一番の敵はメールである。一説によると、教授の時間の 4 割から 5 割程度がメールの確認と返信作業で奪われると聞いている。
 教授に恩義ある学生の一人として。この土日で、教授の問題解決に貢献する小さなアプリ(”tsukuba”)[1] を作ってみた。

 メール処理に手間取る要因の一つは、「(返信等の)処理対象メールの選別である」と推測する。つまりユーザは、INBOX に到着した全てのメールに対して返信等(以下、「処理」)を行うのではなく、このうち一部に対して処理を行うのだが。到着メールのうち、どのメールを(優先的に)処理するかという事を、いちいち中身を精査して確認しなければならない。
 もちろん日々、大量のメールを受け取る人間は、スパムフィルタはもちろんの事、各種メールヘッダを指定したフィルタリングを行って、中身の精読を行う時間を省いていることと思うが、教授のような多方面(学生、学内組織、官公庁、調達したプロジェクトに関連した民間企業等)から毎日のように様々なメールが到着するユーザにとっては、これのみによっては対応できない。

 ただし、これらのメールに対しても事前に読む必要がなさそうなメールを推定する事が可能である。
 Gmail の priority inbox などがこの問題を解決しようとしているのだろうが、恐らく多くの人間がこの機能を「イマイチ」だと思っている事だろう。その原因は、「(判断基準が)不明確である事」と「(判断基準がユーザ一般にとって)不確定である事」だと推測する。
 priority inbox の判定基準については、「ここ」に詳しく記載されているが。やっぱりわからない。。スパムフィルタでさえ、完全に信用されているとは言えない状況において、priority inbox のみを信用するというユーザは希有だろう。またそもそも判定基準は、個々のユーザの趣意に左右される為、どうがんばったって一意にパーフェクトなフィルタリングができるわけがない。
 
 なので。求められているのは、ユーザにとって仕組みが理解し易く、容易にカスタマイズ可能。それでいて且つ、既存のヘッダ情報を基にしたフィルタリングでは表すことができない条件を指定する事であると考える。
 そこで、次の2つの条件と、それを実現するアプリ(”tsukuba”)を提案する。tsukuba では、以下の条件を満たすメールを、INBOX から Tsukuba ラベルに対して移動(migrate)させる事で、返信等の処理対象から除外する。

 1. 返信率が 0 % で且つ、一定数以上溜まっているメールの送り元からのメール
 2. 自分の宛先が CC ないしは BCC で指定されたメール (以下「CC メール」)

 今まで到着しているメールに対して、一通も返信していないメールを処理対象から除外するというのは間違っていないだろうが。この理屈だと、これまで届いていないメール(以下、「新着メール」)も処理対象から除外されてしまう(仮に明日、redhat から「うちで働かない?」といったメールが届いたら、是が非でもレスポンスしたい)。なので返信率0の条件に対して、(デフォルトでは)5件溜まるまで新着メールを migrate させないという例外を設定した。
 また、返信処理対象から CC メールを除外する条件も盛り込んだ。メールの送り手にとって CC でアドレスを指定する事は「一応報告しておきますね」「目を通しておいてもらえるとうれしいです」といった、To ヘッダに指定したユーザのサブ的な位置づけに他ならない。これを、CC メールを受け取ったユーザが必ずしも reply しなければならない対象とはなり得ない(本命の送り手が居るわけだから)。

[1] http://ebisu.at/tsukuba/


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