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WEB+DB PRESS Vol.66の特集3が「クックパッド 開発ノウハウ大公開」でした。他社がどのようなソフトウェア開発プロセスを確立あるいは試行しているのか、どんな開発者文化を醸成しているのかに関心があるので、興味深く読みました。読んだ感想は、クックパッドは良い開発者文化を醸成しているようで素晴らしい、です。なんと言うか、利用者視点の文化が醸成されているようです。

もちろん書かれたものと真実が一致していると信じるほどウブではありません。かつて、アリエルも開発プロセス(主に品質管理)の記事を書いたことがあります。もし社内の人がこれを読んだら、こんな良いことばかりでもないだろうと思うかもしれません。ぼくもそう思います。

そもそも世の中にあふれる「言語化して語られる開発プロセス」と「開発現場の現実」にはギャップがあります。現場の本当の根深い問題の多くは語られません。

開発プロセスの良い面あるいは悪い面でも解決できた話は、広く大勢に敷衍するので語ることができます。一方、解決不能な悪い話は特定の少数個人に依存する傾向があるため語りにくい話になります。少なくとも雑誌記事で特定個人を名指しした批判は普通できません。たとえ個人を特定できないとしても、特定個人の事例を書いて何か意味があるのかと自問すると、意味なしと結論づけざるをえません。こうして現実と記事にはギャップが生まれます。そして皮肉なことに、解決できない特定個人の問題こそが現場で本当に根深い問題であったりします。

そんな深読みはさておき、森本さんがアリエルの開発プロセスについて記事を書いてくれました。ぼくが書くより客観的な記事になっていると思います。少し褒めすぎかと思いますが、言語化して語られる開発プロセスとはそういうものなのです。

「その資料、公開しても良いです。公開するしないの判断は任せます」が謎コメント扱いされたので真意を補足します。普通、この手の社内について語る資料はデフォルトで社外秘になりがちです。このため、まず社外秘のラベルを外す意思表示をしました。とは言え、他人が作ったものを公開しろと強制するのは変な話です。著作物をどうするかは著作者が決めることで他人がとやかく指図するものではないからです。このため、資料を公開するか否かに意見を差し挟みません、という意思表示をしました。自分の中では筋が通っているつもりですが、発話すると謎コメントになったようです。伝えるのは難しいものです。


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