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元祖Ariel Advent Calendar 2011の記事です。クリスマスなので就職面接の必勝法について書きます。

新卒でも中途でもどちらでも使えますが、それなりに若い人を想定しています。一定の年齢になっていれば、面接での小細工よりも実績で勝負すべきだからです。実績を積み重ねていれば、面接が多少下手でも採用に至るはずです。同様に、新卒や若い人でも、既に充分な実績や誇れる何かがあればこの記事は不要です。

とは言え、充分な実績を持つ若手は稀です。ほとんどの人はさして誇れるものもなく、売りもなく、挙げ句、下手な面接で採用の機会を逃しているのではないでしょうか。もったいないことです。そもそも就職活動は生産的な活動ではありません。さっさと就職して生産的な活動に精を出すほうが世の中のためです。

必勝法を文字どおり解釈すると、必ず勝つです。必ず通る面接なんてあるはずない、と反論がありそうです。それはそうです。採用の合否は相対的なものです。面接官との相性や運もあります。必ず勝つの意味は、自分自身に勝つの意味です。己に勝てば、結果も自ずとついてきます。面接に落ち続けると人生に負けた気分になりますが、老婆心ながら言っておくと、若いうちの面接の失敗なんてその後の長い社会人生活で見ると誤差です。面接に落ちることより、その結果、自分に負けるほうが問題です。

だからと言って、気楽にやればいいんだ、と無責任で役に立たないアドバイスは嫌いです。もっと実践的なアドバイスをしたいと思います。

面接必勝法に話を戻します。ひと言で書くと

過去は日常で語る、未来は非日常で語る

少し気取って書きました。クリスマスなので許してください。

この必勝法は、過去、多くのアンチパターンを見てきた結果、気づきました。アンチパターンは、過去を非日常で語り、未来を日常で語る応対です。次のような回答です。

  • 「授業でプログラミングをしたら面白さに目覚めて、自分にはプログラミングしかないと思いました」
  • 「見よう見まねでPHPを書いて動いたのが感動したので、この業界を志しました」

好きや熱意をアピールしたらダメなのか、と思うかもしれません。いえ、プログラミングやコンピュータが好きであることは重要です。好きでなければ続けられないからです。しかし、数ヶ月プログラミングしただけで好きのアピールをされても…が率直な感想です。せめて3年間はプログラミングを続けた上で好きと言って欲しいと思います。そして3年間続けていれば、その実績をアピールできるので、本記事の対象読者ではなくなります。繰り返しますが、この記事は、こういう実績のない人に向けて書いています。

言葉を飾ろうと話を膨らまそうと、ほとんどの人にとって、IT業界を目指さなければいけない衝撃の体験なんてないと思います。聞いているほうだって、ないと思っています。ないものをあるかのように話す必要はありません。

アンチパターンの人は、過去を非日常で語っておきながら、未来を日常で語ります。「入社したらどんなことをしたいですか」や「将来のキャリアは何か考えていますか」の質問に、「御社の期待する人材になれるように努めます」や「周りから認められて、仕事を任せてもらえる人になりたいです」などと答えます。がっかりです。

面接必勝法は、過去を日常で語り、未来を非日常で語ります。

自称平凡な人は過去の事実をたんたんと語ればいいのです。この目的は、継続できる力を示すことです。過去の自分を振り返れば、何かしら興味が継続しているものがあるはずです。IT業界と関係なくても構いません。継続してずっと好きである事実を語ります。好きな対象は徹底的に分類して整理しなければ気が済まないはずです。調べて調べて、そして様々なトライを繰り返すはずです。それを事実ベースで語ります。

たいした成果がないので何も語れません、と言うかもしれません。関係ありません。何をしたかの事実だけで充分です。なぜかと言うと、面接官が知りたいのは、相手が日常の平坦さを越えられるかどうかだからです。しかし、仕事だからつまらなくてもいいとか、苦しい仕事に耐えます、のような発言は求めていません。平坦な日常の中に楽しみを見出せるかが鍵です。平凡な過去に引け目を感じるかもしれませんが、逆手に取ります。平凡な日常を楽しんだ事実を語れば継続できる力をアピールできます。だから、本当はネガティブに過ごしていたとしてもポジティブに語りましょう。平凡な事実とポジティブな感情の組み合わせは、飾り立てた非凡な過去を上回ります。

過去は日常で語っても未来は非日常で語ります。

世界を変えたい。これぐらいぶちあげればいいと思います。

そんな大それたことを言えるような実績がありません、と思うかもしれません。経歴書を見れば実績がないことはわかっています。何者でもない自分を逆手に取ります。誰でも最初は何者でもありません。

ただ、世界を変えたいと言うと、どう変えたいのかと質問され、会話がどんどん具体的になるリスクがあります。せっかく非日常で語っているのに、話が具体的になったら作戦失敗です。それに、世界を変えたいという回答は、面接官によっては地に足がついていないと判断されるリスクがあります。なぜかと言うと、世界を変えるまでの道のりが見えないからです。

お勧めの回答は「トップになりたい」です。まず配属チームの中でトップになり、会社の中でトップになり、業界の中でトップになり、世界でトップになりたい、と答えます。抽象的で非日常な回答ですが、道のりが見える化されているのがポイントです。

なぜトップになりたいのかと聞かれたら、頂点に立たなければ見えない風景を見たいから、と答えます。

それパクリだろとつっこまれても開き直ります。自分は見たいと言い張ります。見たくないですか、と逆に面接官に問いかけてもいいと思います。面接官が見たいと思わないと答えようと、自分は見たいと言い通します。過去を美辞麗句で飾り立てても意味はありませんが、未来の夢は強気で押し通せばいいのです。抽象論のまま強気で一貫して押し通せば、結局、面接官に否定する術はありません。

P.S. 一瞬の熱意をこき使い、燃え尽きたら使い捨てる、人材を消耗品と見なす企業の場合、アンチパターンのほうが面接で通るかもしれません。


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