Mandriva
Up one levelMandrivaLinux 2009.0 Tips
私は会社でも家でもMandrivaLinuxを使っています。
アリエル社内でのLinuxディストリビューションのシェアはUbuntuが最大派閥で、あとはGentooを弄り倒している人が数名。そんな中で、一人我が道を行っています。大学時代は有り余る時間を駆使してVineやらRedHatやらKondaraやらLaser5やらTurboやら片っ端から試していたものです。その後しばらくFedoraを経て、SUSEがコミュニティベースに移行してからは長らくopenSUSEを使っていました。Mandrivaを使い始めたのは1年くらい前からです。FedoraやopenSUSEのように商用版の実験ディストリではなく、商用版と同等の構成でサポートや商用ソフトウェアを削ったものなので、新しい技術を取り込みながら商用版並みの安定性も備えています。私はRMS的なフリーソフトウェア信奉者ではないので、プロプライエタリなソフトウェアを変に排斥しないのも良いところです。素晴らしいディストリですが日本での認知度は低いようで、非常にもったいない話です。
さて、Mandrivaの最新版である2009.0がリリースされてから1ヶ月が経ちました。家のPCにはリリース直後に導入したのですが、やはり新しいバージョンを使い始めるとハマるポイントが色々あります。その辺の対処法を見つける都度あちこちに書き散らかしてきましたが、せっかくなのでここにまとめておきます。
プリンタが使えない
CUPSでプリンタの設定をやっていると、こんな感じで怒られる場合があります。
Unable to open device "hal:///org/freedesktop/Hal/devices/usb_device_4a9_10a2_B28916_if0_printer_noserial": Permission denied
rootでやっても駄目なので、どこかしらでアクセス権が変なことになっています。この場合、以下を実行すると解決します。
$ sudo chmod 700 /usr/lib/cups/backend/hal $ sudo chmod 700 /usr/lib/cups/backend/usb
これはUSBプリンタの場合なので、他のタイプのプリンタの場合は対応するbackendに読み替えれば多分いけます。
VLC Media Playerが起動しない
マルチメディア系ソフトウェアの選択肢は豊富ですが、個人的にはVLCがお気に入りです。2008.1の頃はKaffeineでしたが、2009.0でデスクトップ環境をKDE4.1に移行したので、KDE3のKaffeineのためにわざわざKDE3のパッケージを入れる気にはなりません。かといってKaffeine4はまだ実用レベルではありません。
さてこのVLCですが、segmentation faultで起動してくれません。パッケージ提供元のPLFのBugzillaに登録して 色々とやりとりした 結果、scim-bridge-qt4が元凶と判明しました。というわけなので、このパッケージを削除してやれば解決します。ただ消しただけだと日本語入力ができなくなるので、代わりにuimを使います。
$ sudo urpme scim-bridge-qt4 $ sudo urpmi uim-qt4immodule $ QT_IM_MODULE=uim vlc
gtkmmを使ったアプリケーションがビルドできない
KDE環境なのでQtアプリがメインとはいえ、GTK+ベースのアプリケーションを使わずに済むほど世の中都合良くはできていません。ですが、GTK+のC++バインディングであるgtkmmを使うアプリケーションをmakeすると失敗するケースがあります。原因はlibglibmm2.4-develにありました。パッチ作ったので掲載しておきます。これを /usr/include/giomm-2.4/giomm/error.h に当てると幸せになれます。
--- error.h 2008-10-13 18:44:03.000000000 +0900 +++ error.h.new 2008-10-13 18:43:35.000000000 +0900 @@ -27,6 +27,10 @@ #include <glibmm/interface.h> +#ifdef _NETDB_H +#undef HOST_NOT_FOUND +#endif + namespace Gio { @@ -95,5 +99,9 @@ } // namespace Gio +#ifdef _NETDB_H +#define HOST_NOT_FOUND 1 +#endif + #endif /* _GIOMM_ERROR_H */
ATOK X3を使いたい
やはり日本語入力はATOKが良いのです。ATOK X3はMandrivaをサポートしていませんが、動かす方法はあります。以下の手順は某所からの引用ですが、ログが流れて埋もれてしまうと勿体ない情報なので転載します。
最初に、インストールスクリプト内のファイル名に合うようにシンボリックリンクを作ります。
$ cd /etc/gtk-2.0 $ sudo ln -s gtk.immodules.lib gtk.immodules
続いてATOK本体のインストール。
$ cd ATOKX3 $ sudo ./setupatok.sh
各ツールキットで使用するInputMethodモジュールを変更します。ATOKはIIIMFのLanguage Engineなので、IIIMFを使用するように設定してやります。まず、設定ファイルをホームディレクトリにコピーします。
$ cp /etc/sysconfig/i18n ~/.i18n
次に、コピーしたファイルを編集して以下のように指定します。
GTK_IM_MODULE=iiim QT_IM_MODULE=xim XIM_PROGRAM="/usr/bin/iiimx -iiimd" XMODIFIERS="@im=iiimx"
最後に、起動時に実行される環境設定スクリプトを用意します。/etc/profile.d/atok.sh を以下の内容で作成し、chmod +xで実行権限を付けます。
export HTT_DISABLE_STATUS_WINDOW=t export HTT_GENERATES_KANAKEY=t export HTT_IGNORES_LOCK_MASK=t export HTT_USES_LINUX_XKEYSYM=t export JS_FEEDBACK_CONVERT=t
これで設定完了です。ログインし直すとATOKが使用可能になっています。
お役に立ちましたでしょうか。日本MandrivaLinux普及委員会の佐藤がお送りしました。それでは。
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Windows7 & Mandriva2010.0
Windows7やUbuntu9.10の話題で賑やかなこの頃ですが、相変わらず私はMandriva2010.0を弄って遊んでます。考えてみると社内でKDE使ってるのは私1人のようで、ディストリビューション以前にKDEが不遇をかこっているのは何故だろうかと時々疑問に思います。Windowsっぽい使い勝手が嫌われているんでしょうか。多数のアプリケーションがDEに統合されているのが煩わしいと感じるんでしょうか。個人的には、UIをあえてWindowsと差別化する意味はないと思っています。最近は自治体レベルでデスクトップ端末をLinuxへ移行するような話も聞くので、WindowsからLinuxに乗り換えようとするユーザーに対して壁を高くしてはいけません。私の両隣の人が使っているxmonadを見ているとつくづくそう思います。
それはそれとして、最近会社ではNotesの仕事がほとんどなので、メイン開発機をWindowsにしました。NotesクライアントのLinux版もあったんですが、Mandriva2009.1ではインストールしても起動すらしません。対応OSがたしかRHELとSLESあたりだったので文句は言えませんが。そんなわけで、メイン開発機がWindows7 Professional、サブ開発機がMandriva2010.0という環境になりました。どちらも予想以上に完成度が高いのでそれほど書くこともないんですが、感想とかTipsとかを少々。
Windows7 Professional
UIが全体的にVistaに似ていますが、中身はかなり改善されているように感じます(Vistaはほとんど使ったことがないので見当違いかもしれません)。まず、体感速度がかなり上がっています。Mandriva2009.1(32bit)が入っていたPCに入れたのですが、OSの起動速度もアプリケーションの動作速度もかなり向上した感じがします。Eclipseの起動時間が10秒くらいかかっていたのが、3〜4秒で起動してくれてすこぶる快適。64bit版なのでメモリを4GBちゃんと認識してくれているのが効いているのかもしれません。
・・・と思っていたのですが、OracleとDomino ServerとNorton先生を入れるとやっぱり重たくなりました。このサービス3つが動いていてアプリケーションを何も起動していない状態で、メモリ使用量は約2GB。これに加えてFirefoxとThunderbirdとEclipseとNoesとDomino Designerはほぼ常時起動しているので、メモリ4GBだとちょっと心許ないです。8GBくらい積んで動かしてみたいところ。
Vistaで悪評高かったUAC。7でも健在ですが、警告を表示するレベルを4段階で調整できるようになっているので多少はましになってます。開発用のPCではさすがに邪魔なので切りましたが、ホームユーザーならデフォルトのままでもいけるかもしれません。それにしても、Linuxでroot権限が必要な操作をするのにsudoを使うことはごく自然に感じられるのに、WindowsでUACで警告出されると煩わしいのは何故なんでしょうか。
XPでは普通に使えていたサービスとして動作するアプリケーションがいくつか動かなくなってます。正確に言うと、動いてはいますが頻繁に警告が出ます。これは何かというと 「セッション0の分離」 に引っ掛かっているようで、サービスがUIを持っていたり、ユーザーが起動したアプリケーションにメッセージを送ったりしているのがよろしくないようです。これはVistaも同じかもしれません。私が動かしているサービスのうち、真っ先に引っ掛かったのはDomino Serverでした。8.0以前のDominoはUIとしてコンソールを持っていてユーザーと対話できるのでアウト。8.5ではサービスとコンソールが分離されているので今のところ動いてくれています。Dominoの他に、Tomcatをサービスとして動かしていると時々引っ掛かるようです。タスクトレイのアイコンが出てこないのでそのあたりが怪しいような。
Mandriva 2010.0
KDE4も4.3になってようやく安定してきました。まったくツンデレにも程があります。クラッシュするレベルのバグは4.2で大体潰れていたんですが、今回4.3ではクリップボードにテキストをコピーできない時があるとかAmarokのコレクションが頻繁に壊れるとかいった重いバグが潰れているようで、安心して使えるようになりました。クリップボードのバグのためメーラーはThunderbirdに逃げてましたが、KMailに戻そうかと考え中です。以前2008.1の64bit版を使っていた頃は頻繁にクラッシュしていて64bit版には不安定な印象を持っていたんですが、今回はそんなこともなくいい感じ。ただ、やはりまだ結構な数の32bitパッケージを混在させないといけないのがちょっと気持ち悪いです。Flashの64bit版、早く安定版出ないかなぁ。
見た目はやはり綺麗です。MandrivaとかopenSUSEとか、ヨーロッパのディストリビューションはデフォルトテーマのセンスが良いので気に入ってます。以前のopenSUSEのリアルカメレオン壁紙はさすがに心臓に悪かったですが。
とはいえリリース直後はやはり色々と挙動の怪しい箇所が出てきます。まずインストール直後、アップデート通知アプレットが「新しいバージョンのMandriva Linuxがリリースされました」などと言い出します。確認してみると2009.1を新しいバージョンと認識している様子。おそらくどこかバージョン番号を書くところで、2010.0と書くべきところを間違えて2009.0と書いたんじゃないかと。これはもう修正されているようなので、この現象を見たらurpmi --auto-updateをどうぞ。
パスワードの有効期限を無期限にしていると、ログイン画面で「あなたのパスワードはあと99,999日で有効期限が切れます」と言われます。もう直っているかもしれませんが回避策があって
$ sudo passwd -w 7 <your user name>
これでOK。ちなみにネタ元は こちら です。
そして今回もATOK X3を動かすべく悪戦苦闘してました。そもそもMandrivaはサポート対象外で、その上openSUSEとかでも64bit環境では動かないという報告があちこちにあって、半分諦め気味だったんですがまあ物事何とかなるようです。
まず以下のものを用意します。下2つはアップデートモジュールで、ジャストシステムのサイトからダウンロードできます。
- atokx3.tar.gz
- atokx3up2.tar.gz
- atokx3gtk216.tar.gz
次に、以下の32bitパッケージをインストールします。
- libpam0
- libglade-2.0
- libgnomeui2_0
- libcanberra-gtk0
- libia_ora-gnome
で、コンソールから以下を。
$ tar xvfz atokx3.tar.gz $ cd ATOKX3 $ sudo ./setupatok.sh $ tar xvfz atokx3up2.tar.gz $ cd atokx3up2 $ sudo ./setupatok_up2.sh $ sudo mv atokx3gtk216.tar.gz / $ sudo tar xvfz atokx3gtk216.tar.gz $ cp /etc/sysconfig/i18n ~/.i18n
途中で、いくつかモジュールのパスを聞かれます。以下の指定でいけるはずです。
Input path of gtk-query-immodules-2.0 for 64bit application: /usr/bin/gtk-query-immodules-2.0 Input path of gtk.immodules for 64bit application: /etc/gtk-2.0/gtk.immodules.lib64 Input path of gtk.immodules for 32bit application: /etc/gtk-2.0/gtk.immodules.lib
最後の手順でコピーした.i18nを編集して以下のようにします。変更箇所はGTK_IM_MODULE、QT_IM_MODULE、XIM_PROGRAM、XMODIFIERSの4箇所です。
LANGUAGE=ja_JP.UTF-8:ja GTK_IM_MODULE=iiim LC_ADDRESS=ja_JP.UTF-8 LC_COLLATE=ja_JP.UTF-8 QT_IM_MODULE=xim LC_NAME=ja_JP.UTF-8 LC_NUMERIC=ja_JP.UTF-8 LC_MEASUREMENT=ja_JP.UTF-8 LC_TIME=ja_JP.UTF-8 LANG=ja_JP.UTF-8 LC_IDENTIFICATION=ja_JP.UTF-8 LC_MESSAGES=ja_JP.UTF-8 LC_CTYPE=ja_JP.UTF-8 LC_TELEPHONE=ja_JP.UTF-8 CONSOLE_NOT_LOCALIZED=yes ENC=utf8 LC_MONETARY=ja_JP.UTF-8 XIM_PROGRAM="/usr/bin/iiimx -iiimd" LC_PAPER=ja_JP.UTF-8 XMODIFIERS="@im=iiimx"
/etc/profile.d/atok.shを以下の内容で作成します。
export HTT_DISABLE_STATUS_WINDOW=t export HTT_GENERATES_KANAKEY=t export HTT_IGNORES_LOCK_MASK=t export HTT_USES_LINUX_XKEYSYM=t export JS_FEEDBACK_CONVERT=t
作成したら、chmod +xで実行可能にします。
これで、とりあえず動きます。動くんですが、この状態だとトリガーキーがCtrl+SpaceかShift+Spaceの2択です。Ctrl+SpaceがトリガーキーだとEmacsを使うのに邪魔なことこの上ないです。Shift+Spaceは、コードを書いていると代入演算子の前後に空白を入れる時などに無意識にShiftを押しっぱなしにしているらしく、これまた邪魔なことこの上ないです。私は全角/半角キーでの切り替えに慣れているので、Ctrl+SpaceとSHift+Spaceを潰してトリガーキーを全角/半角キーのみにしました。
/usr/bin/iiimdをバイナリエディタで開いて、以下のように書き換えます。前後をずらさないように、余った部分は空白で埋めます。あと、バックアップを推奨します。
"<Ctrl>space,Zenkaku_Hankaku" ↓ "Zenkaku_Hankaku " "<Shift>space,Zenkaku_Hankaku" ↓ "Zenkaku_Hankaku "
同様に、/usr/lib/iiim/iiim-xbeをバイナリエディタで開いて以下のように書き換えます。
"<Ctrl>space Zenkaku_Hankaku" ↓ "Zenkaku_Hankaku " "<Shift>space Zenkaku_Hankaku" ↓ "Zenkaku_Hankaku "
最後に、iiim-propertiesというツールでトリガーキーを設定し直せば完了です。iiim-propertiesはATOK本体に同梱されています。
$ cd ATOKX3/bin/rpm/IIIMF/ $ sudo urpmi iiimf_properties-trunk_r3104-js1.rpm $ iiim-properties
表示されたダイアログで、リストに表示されているトリガーキーを全て削除して、全角/半角キーをトリガーキーに設定します。
このあたりを参考にさせていただきました。ありがとうございました。
http://hexe19.net/2009/04/24/76/upgrade-ubuntu-810-to-904-atok-gets-mad/
http://d.hatena.ne.jp/higepon/20090406/1239026149
http://okutomi-lab.ctrl.titech.ac.jp/~tkanda/atok_x3_install.htm
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MandrivaLinux 2010 Spring
絶望した!2010.0から何が変わったのか全くわからないのに絶望した!
例によってリリース早々インストールしてみたわけですが、リリース延期してRC2出したりとかしていたわりに変わった感が全くありません。安定版といったところなんでしょうけど・・・。進化を求めているユーザーにとっては、それこそデフォルトの壁紙とかテーマとかが変わるだけでもだいぶ印象が変わると思うんですが。見た目重要。
とはいえ何のトラブルもなく導入して使えているので、安定性を指向したなら効果は出ている気がします。あと、標準のパッケージリポジトリにChromiumが入ってたのは嬉しかったです。Windows環境ではメインブラウザがChromeなので、ブックマークとかが同期できて便利。
openSUSE11.3もそろそろリリースなので、なんとなく乗り換えを検討してる今日この頃です。
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