My 水先案内人
中学生の頃に読んで以来、読み返したいと思っていたSF小説がありました。 でも、とても面白かったという印象と、かなり漠然とストーリーを覚えているだけで、タイトルも著者名も失念してしまっていて、その思いをずっと実現できずにいました。
ところがしばらく前に、ある雑誌のミステリーベストセレクション的な特集で、SFにも関わらずそれらしき小説が取り上げられていたのを、偶然、発見したのです。もちろん、早速、Amazonで注文して、その「星を継ぐもの」という小説と二十年以上ぶりの再会を果たしました。
でもここで話題としたいのは、その小説の面白さとか、SFなのにミステリーの特集に取り上げれられている点とか、そんなことではもちろんありません。
その頃も今もSFには興味のない私が、そもそもなぜその小説と出会えたのか? その謎についてです。
と言っても、その謎の解明は容易です。その頃の私には本と音楽についての水先案内人がいて、私自身はっきりとは覚えていないのですが、「星を継ぐもの」も、その人から貸して貰って読んだことはまず間違いないからです。
今となって思うと、その水先案内人、実家の向かいに住む同級生のお兄さん、ヨシカタくんは、たった二つしか歳が離れていないのに、随分と大人びた嗜好の持ち主でした。そうして、まだ幼かった私に、多くの未知への扉を開いてくれたのです。イーグルスとかフリートウッド・マックとかの今や古典とも言える音楽、ミステリを中心とした数々の小説とか......ヨシカタくんがいなかったら、もしかすると、その後の私の嗜好も変わっていたかもしれません。
それ位、ヨシカタくんは、私にとってありがたい存在だったと思います。
そんな私もすっかり歳をとって、今や、そんな親切な水先案内人は身近にはいません。
でも今の私には、Amazon がヨシカタくん代わりなのです。いえ、購入データの向こう側にいる何人もの見ず知らずのヨシカタくんと私を、Amazon が結びつけてくれるのです。
そうです。今や Amazon こそ、私の水先案内人なのです。
なんてことを思って、会社の周りの人に「星を継ぐもの」再発見の話をしたら、そのタイトルを言う前にわずかなヒントから、二人の人が間髪を入れず、「星を継ぐもの」じゃないのかと当ててしまいました。
身の周りには、実はまだまだヨシカタくんが埋もれているのかもしれません。
でも、ヨシカタくん探しもまた一苦労ですし、身の周りで遠慮なく会話できる限られた人数に留まらず、広く世の中から勝手に集めてくれるという意味で、やっぱり、Amazon ありがたやありがたや、なのです。
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