プレゼン文化の違い
先日、salesforce.comのTour de Force Tokyo(-ツール・ド・フォース-)に行ったことを書きましたが、その場でコードを書いてすぐに動かすデモがなかなか素晴らしい出来でした。しかし、会場は静かなままです。途中、プレゼンター(外国人)が自分で拍手して、会場の拍手を促す場面すらあって涙を誘いました(これを無視するほど、会場の日本人も冷たくはなく、拍手で応えていました)。
Google Developer Dayで、ステージ上の及川氏が、「こういう風にデモが成功した時、海外では拍手で讃える文化があるので、是非、みなさんもお願いします」と言って拍手を促していたのを思い出しました。
海外ではどれほどのものかと思って参考に見たのが、これです(2008年はあまり面白くないので2007年)。
良くもまあ、こう求めに応じて律義に拍手するものです。教祖と信者なのであまり参考にならないかもしれませんが。教祖がcool?と言うたびに拍手喝采です。君たち、パブロフの犬か、と毒づきたくなります。
とは言え、拍手があるだけで、たいしたことの無い技術も世紀の大発表に聞こえてきます。参加した信者も幸福な気分を味わっているのでしょう。
こういう展開の文章で、これが日経の記事なら、日本人は拍手で讃えるマナーを身につけるべきだ、とか、素直に称賛を与えない文化が日本のソフトウェアをダメにしているのだ、など、説教臭い精神論や憂国の士をきどった論調にでもなるところですが、アリエルエリアは日経ではないので、そんな展開にはしません。
精神論が嫌いというわけではなく、単に、日本人が身の丈に合わないことを無理して不自然にやっている姿を見るのが嫌いだからです。拍手が自然にでないのなら、それはそういうものです。自然にできないことを無理して始めるのは、見ていて痛々しいので嫌いです。
でも、できないのは先陣を切って拍手をすることで、誰かが拍手をした時にそれに追随するのは、多くの日本人が自然にできるようです(観察による経験則)。なので、ここは割り切って、日本で行うプレゼンでは、拍手屋を雇ってしまうべきです。内輪の関係者に頼めばコストゼロです。バイトを雇ってもコストはたかが知れています(コンパニオンの女性のコストを削れば捻出できるでしょう)。拍手のタイミングは、上のビデオを一本見れば、だいたい理解できるはずです。拍手屋が率先して拍手すれば、おそらく他の日本人もついてきます。
そんなのヤラセじゃないか、と文句を言う人もいるかもしれませんが、別に誰が傷つくわけでも、誰が損をするわけでもありません。平凡なプレゼンを凄いと勘違いしてしまう危険性が損だ、と主張する人がでてくるかもしれません。そんな人はどうせもっと色々なところで騙されているので誤差の範囲です。
ただ、ヤラセが丸見えなのは気持ちのいいものではありません。内輪ウケは、拍手がないより興醒めです。このため、内輪の関係者に拍手をさせてコストを浮かせるよりは、部外者の拍手屋の方が良いでしょう。拍手屋にはヤラセと見えないための努力もしくはスキルが必要です。周りも気づかないフリをする優しさが必要です。
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