コラボレーションとマジックナンバー100
前回の記事のsalesforceのchatter話の続きです。
chatterのデモを見ていると、何かつぶやくと、実に有意義なコメントがつきます。フォローする人たちのつぶやきを眺めていると、実に有意義な情報が流れてきます。
現実はこんなに都合良くはありません。重要な情報だけが厳選されて流れてくることは無いからです。書き込みの敷居を下げれば、情報のS/N比は悲しいほどに落ちていきます。
昔、ソースコードの規模とプログラマが把握できる能力のことを書きました。
余談ですが、上記の記事で「ワークスアプリーケション」と書いているのは「ワークスアプリーケションズ」の間違いです。当時、ワークスアプリーケションズはVC(ベンチャーキャピタル)が共通というだけの関係で、その後、子会社になるとは思っていませんでした。
閑話休題。
一日に受け取るメッセージ量と人間の把握できる能力を考えてみます。
ここでのメッセージはシステムへの追記コメントを想定してください。プログラマならBTS(バグ管理システム)への書き込み、営業やマーケ系ならCRM/SFA(営業支援システム)への書き込みを想像してください。連絡など一過性の情報を除き、メールや掲示板やブログへの書き込みもカウントします。社内に業務システムがない場合、メールの数と思ってくれてもいいです。
経験的には次のように思います。
100通/1日: 普通の人が問題なく把握できる量。 1000通/1日: 普通の人が苦労して把握できる量。 1万通/1日: 把握するだけで一日が終わる量。 10万通/1日: ひとりで把握するのは無理だと思う量。
こんな少ないのと思うかもしれませんが、こんなものでしょう。余裕で一日1000件ぐらいのブログを読んでいる、と豪語する人もいるかもしれませんが、たぶん、あなたは特別です。
今、アリエル社内で一番メッセージ量が多いのはBTS(trac)です。一日、100通を超えています。tracには、メール、RSS、タイムラインなど様々なメディアでフィード(プッシュ)機能がありますが、残念ながら、普通の人が苦労せずに把握できる臨界点を超えているので、機能で本質的な問題が解決できていません。
同じ問題はsalesforceのchatterでも起きるはずです。フィルタ機能でS/N比問題に対処しますと主張していますが、フィルタで解決できるとは思えません。
サーバのスケーラビリティを語るC10Kという用語があります。コラボレーションの人間側のスケーラビリティを語る用語をM100と呼ぶことにします。
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