IPA未踏ユースの発表会を見にいきました
松山さん凄かった。格が違いました。
未踏本体の発表会は何度か見に行っていますが、未踏ユースの発表は初めての参加でした。
未踏本体にはプレゼン上手の人が多く、口の悪い言い方をするとプレゼン力で採択されたのではないかと揶揄されそうな人すらいます。
未踏ユースの人は全般にプレゼン下手でした(2日目のみしか見ていません。話によれば初日にはプレゼン上手もいたようです)。プレゼン下手は、けなしているのではありません。口だけ達者よりずっと好感が持てました。みんな、凄いことやっているのに、まったく凄そうにプレゼンしないのが印象的でした。もっとも、もしかしたら、彼らのある種の無自覚さは凄さと表裏一体なのかもしれません。
この中では松山さんは自覚的な方かもしれません。直前ふたりが16才の発表でした。16才でこれほどとは凄いというざわめきの余韻の残る中、登場でした。ソフトウェアの自由とは、とストールマンばりの振りでプレゼンが始まりました。と言うより、ソフトウェアの自由の話が長すぎて、これだけでプレゼンを終わらせるつもりかと心配になるほどでした。後半、デモを交えながらauto-completeモード、RSense、GCCSenseを説明すると、16才の時とは違う感嘆の声が会場を支配しました。質疑応答でRubyの笹田さんが食いついたのも印象的でした。
16才ふたりは素晴らしかったですが、松山さんの格は違いました。たとえると、高校生投手が150km連発して会場を沸かせた後、ダルビッシュがでてきた感じです。球速だけ見ればどちらも150kmなので、プロも高校生もスピード同じぐらいなんだと思う人もいる中、見る人が見れば全然違うことがわかる、という感じです。もちろん、16才ふたりの発表が凡庸だったという意味ではありません。
大山さんに続いて松山さんのスーパークリエータは当確間違いなしです。松山さんにスーパークリエータを与えなかったら、将来、IPAは村上春樹に賞を与えなかった文藝春秋ぐらい恥ずかしい思いをすることになるでしょう。
昨日は実に誇らしい気分になりました。我が子を褒められる親の気持ちはこんなものかもしれません。もっとも自分が松山さんの育ての親だと主張する気はありません。それはまるで一軍に上げなかったことでイチローを育てたと主張する土井正三ぐらい図々しいことです。
正直、年代の近い他人への賞賛は、(自分はまだ人間ができていないので)嫉妬など複雑な感情が入り交じります。未踏ユースぐらい年代が離れると、これがなくなりました。自分が賞賛される時は、誇らしさの裏で、自分は過大評価されているのではないか、いつかこの賞賛が失われるのではないか、という不安が常につきまといます。他人の賞賛にはこの不安がありません(そういう意味では他人は他人です)。安心して誇らしい気分に浸れるという意味で安直な幸せです。
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