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チャンドラーとマルチスケジューラの夢と現実 - 「プログラマーのジレンマ」から -

プログラマーのジレンマ 」を読んでいると、チャンドラーのたどった技術的なジレンマが、 マルチスケジューラ (以下、マルスケ)に似ていることに気づきます。

チャンドラーの野心的な試みのひとつに、本書の中で「サイロを倒せ」と評されている部分があります。サイロをファイルシステムに当てはめると、ディレクトリやフォルダです。「サイロを倒せ」の意味は、情報を一元的にカテゴライズ化することへの抵抗です。「とりあえず放り込んで後で決定する」という表現もあります。

この気持ちは分かります。

チャンドラーに放り込んだ(書き込んだ)文書を、メールやスケジュール文書やToDo文書に変換できるようです。文書に宛先をスタンプすればメールになり、日付をスタンプすればスケジュール文書になり、締切日をスタンプすればToDo文書になるなどです。

デジャブです。

マルスケ(当時のAirOne)にも似た機能がありました。最初の発案者は忘れました。大谷さんか岩田さんか徳力さんの誰かだったと思います。自分は最初の発案者ではありませんでしたが、このアイディアには諸手を挙げて賛成しました。クールだと思いました。

この機能は、マルスケ(AirOne)でメモ機能として実装されました。とりあえず書き込んだメモを、後でスケジュール文書やToDo文書に変換できる機能です。まさに「とりあえず放り込んで後で決定する」でした。

残念ながら、概念が難しすぎて分からないという理由で機能はなくなりました。今でもコードの残骸がマルスケのコードベースに残っていますが表にはでていません。

今から考えれば、文書をメールに変換するより、該当文書のリンクを張ったメールを新規に作る方が簡単です。そして多くの技術的な障壁もなくなります。これはクールではありませんが現実的です。

チャンドラーはこの機能を「文書のポリモーフィズム」と呼んでいるようです。文書そのものの型を拡張するのを継承スタイルと思えば、リンクを持つだけの文書は委譲スタイルです。多くの場合、継承より委譲の方が簡単、という事実にも合致します。

サイロを倒せの文脈で、現実世界は物質界の制約のため情報が1ヶ所に縛られる、ソフトウェアの世界ではそのような制約に縛られずもっと自由に情報を探せるべきだ、論があります。

個人的に、昔はこの主張に傾倒していました。物質界の制約にとらわれないのがクールだと思ったのです。

今は少し懐疑的です。ソフトウェアの世界が物質界の制約から自由でも、人間の思考が制約にとらわれたままでは、決して使いやすくならないと思うからです。

物質界の目立つ制約のひとつが位置感覚(場所感覚)にあると思っています。情報はどこかの場所にあって、得るためにそこに行くものだという思いです。情報が場所に縛られる必要がないと言われても、人間の思考がついていけません。

インターネットで何かを得るにはそこに行きます。そこに行けば欲しいものが得られる安心感がないと不安になります。行かなくても必要な情報は遍在していると言われても困惑するだけです。ウェブ体験は移動とは違うと言われても、理屈で理解できても感覚はついていけません。

世代の差が何かを変える可能性はあります。

生まれた時からインターネットを使う世代は違う感性を持つかもしれません。インターネットの中に異なる物理感覚を身につけるかもしれません。自分は、移動してモノがそこにある、と感じる感覚から逃れられない気がします。

チャンドラーのビジョン(http://chandlerproject.org/vision)。難しそうです。盗めるアイディアがあるか読んでみます。

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