2006年、鬼のプロジェクト管理
去年(2005年)の反省です。
ありえるえりあで偉そうにプロジェクト管理について語っていながら(http://dev.ariel-networks.com/column/pm/working_on_project/view)、ことごとく同じ過ちを繰り返しています。やってはいけないと頭では分かっているのに失敗します。分かっていることと実践できることは違うということを思い知らされています。
去年PM的な立場の仕事をしました。今までの経験の中で最悪でした。勝てば選手の力、負ければ監督のせい、です。失敗の責任はぼくにあります。その時の記録が詳細に残っています。(ぼくは監督を解任されましたが)後学のために、記録を読み直してみました。一体、どこでどう間違ったのでしょう。
分析の結果分かったことは、前から分かりきっていたアンチパターンにことごとくはまっていたことです。
代表的なアンチパターンを3つ挙げると次のようになります。
- 常に70%から90%の達成率が報告されている
- 最初(初日)から遅れが発生している
- 次から次へ想定外の問題が起きている
説明します。 記録を読み直すと、ほぼ毎日、70%から90%の達成率が報告されていました。試験なら70点でも及第点、90点なら良くやった、と言うところですが、プロジェクトの進捗報告の場合、100点以外は全部落第と肝に命じるべきです。70%から90%の日があっても、他の日に120%があれば平滑化されるのでは、と思うかもしれません。残念ながら、100%を越える達成率はほとんど起こりえないと考えるべきです。毎日平均的に80%の達成率だと、1週間で1日分の遅れがでます。1ヵ月あると約1週分の遅れになります。去年のプロジェクトの期間は約4ヵ月でした。後に述べるような要因も含め、約1ヵ月分の遅れがでました。最悪です。
「完了」以外の報告なんて信用するな、は頭では分かっていたはずです。分かっていてもこのざまです。たぶん監督として無能なのでしょう。
100%に満たない達成率は初日から発生していました。立ち上がりが悪いだけで、慣れてくれば良いパフォーマンスを見せるだろうと思っていました。これが甘かったです。このような甘い予測は断ち切るべきです。
次から次へ想定外の問題が発生して遅れが更に加速しました。しかし、想定外の問題が発生するのは不思議なことなのでしょうか。ぼくはそう思っていません。ソフトウェアの開発において、分かりきったことは最初から問題になりません。ルーティンワークは自動化されます。つまり、ソフトウェア開発で人間が手を出す部分は、そもそも何が起きるか不透明な部分なのです。少なくとも、アリエルネットワークがやる仕事は、手順に従ってルーティンをこなしていけば時間とともに何かができる、と言った仕事にはなりません。
ソフトウェア開発のプロジェクトでは、新しいこと、想定外のことが起きるのを常態と考えるべきです。「いずれ慣れてくれば効率が上がる」という幻想を打ち破る時がきました。常に新しいことが起こり続ける以上、慣れることはありません。つまり、「慣れていないので進捗があまり良くありません」という言い訳をした人間は、その後もずっと進捗が遅れ続けます。「慣れていないから遅い」という言い訳は、「新しいことへの適応が遅い」と読み替えるべきなのです。
選手としてのぼくは、決して新しいことへの適応は早くありません。アリエルには大谷さんのように軽々と適応吸収する凄い人もいますが、ぼくは違います。そんなぼくがなんとか(選手としては)生き延びているのは、休みの間に予習をして溝を埋めているからです(予習をしておかないと不安、という小心者でもあります)。
2006年、鬼監督が就任予定です。2005年の反省を活かすことを考えてみます。ぼくは監督を解任されたので、次期監督の助けになることを願っています。
最初の週から100%以外の達成率は認めないことです。90%の達成率は借金をしているようなものと考えるべきです。達成率が90%なら10万円の借金です。「まだ慣れていないから」や「始めたばかりだから」という言葉に耳を貸してはいけません。借金は自動的に無くなることはありません。その週に作った借金は、確実に返済させるべきです。土曜、日曜に返済させない限り、間違いなく借金地獄になります。
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