Google Wave雑感
去年のGoogle Developer Dayは実は結構しょぼいものでした(もちろんGoogleにしては、というただし書きの下です)。
去年の注目技術は、OpenSocial、Android、Google App Engineでした。OpenSocialは自他共に認めるfacebookの後追いです。後追いが悪いわけではありませんが、機能的にfacebookより劣っているのが微妙です。Androidはそもそも買収した企業の技術です。買収した技術が悪いわけではありません。Google Mapsだって買収した技術です。しかし、携帯で動くGNU/LinuxとJavaの組み合わせに新鮮さを感じる人はいないはずでしょう。Google発の携帯プラットフォームだから話題になるだけで、同じ技術を日本の会社が出しても話題にはなりません。Google App Engineは今後の技術動向を考える上では重要ですが、技術の新奇性という点ではぱっとしません。Amazonより公開するレイヤを上げた点に違いはありますが、自社インフラを解放する英断を先にくだしたのはAmazonで、Googleは後追いです。
Google Waveは久しぶりにGoogleから仕掛けた印象の技術です。
第一印象は、Grooveそっくりだな、というものです。技術的には、XMPPを使う超シンプルなGrooveです。
Comet(HTTPで同期通信)を使わずにXMPPを使うのは理にかなっています。Cometは率直に言って無理矢理な技術です(AirOneでもHTTPトンネリングでやむなく似たことをしています)。同期通信をするなら、HTTPを無理に使わずにそれに応じたプロトコルを使うのが「正しい」判断です。XMPPはシンプルでオープン(http://www.ietf.org/rfc/rfc3920.txt)なので「正しい」選択だと思います。
とは言え、「正しい」技術が広まるかは別の話です。Cometのような泥くさい技術でもそれなりに動いてしまうと意外にしぶとく生き残りそうです(記事など見るとGoogle WaveはCometも併用しているようにも見えます。詳細は不明です)。
用語の使い方が独特でわかりづらいです。ユーザ(上記中ではユーザやボットを一般化してParticipant)の集合、オブジェクト(上記中ではDocuments)の集合のコンテナをWaveletと呼んでいます。ユーザはメールアドレスで識別して、オブジェクトとWaveletはそれぞれユニークなIDで識別します。ここまで見ると、Waveletがフォルダや共有スペース、あるいはルーム的なものに見えます。
Waveletの上位にWaveletの集合のコンテナのWaveがあるので話が混乱します。どちらかと言うとWaveが共有スペース相当、Waveletが複合ドキュメント相当、Documentが(複合ドキュメントの要素である)ドキュメント相当、という位置づけなのでしょうか。この辺は触ってみないとわかりません。
プロトコルとデータモデルには興味があるのですが、個人的には同期(リアルタイム)コミュニケーションが嫌いなので、Google Waveにユーザとしての興味はありません。でも、そろそろ、XMPPの共通インフラができてもいい頃かもしれません。
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