Lisp脳と世代
第5回ありえるえりあ勉強会がありました。
タイトルは「Lisp脳」でした。
冒頭の挨拶プレゼンで間違いなくウケると思った「Lisp No」がそれほどでもなくてがっかりですが、まあ、いいです。ウケないプレゼンに慣れました。他の人のプレゼンは面白かったです。
前回(第4回)のありえるえりあ勉強会のテーマはJavaでした。今回の出席者の方が全体的に若い人が多く、(前回出席者を不当に貶めるものではないので誤解ないようお願いしたいですが)今回の出席者の方が技術レベルの高い人が多く感じました。
技術レベルは、マニアックになればそういう傾向は出やすいのである意味予想どおりですが、年齢層がJavaの時より下がっているのは予想外です。
懇親会の席で、社内でHaskellを使っている人と話したのが印象に残りました。若者が使いたい/使いやすいのが言語選択の重要な指標になったようです。Javaを使いやすいと主張するのは、むしろ社内の年寄連中で、若者はHaskellの方が使いやすいと言うようです。
アリエルの製品は、 マルチスケジューラ は主にC/C++、 アリエルエンタープライズ は主にJavaで書いています。
これらの言語の選択を間違っているとは思っていませんが、次の新しい製品では20代の人たちに言語選択を任せるべきだろうと思いました。
選ぶ言語が何になるかはわかりません。個人的には静的型付け/強い型付けの言語を推したいですが、選択を任せると決めたら余計な口出しをしないのが筋でしょう。
一部の好き者は、好きなプログラミング言語を使えることが会社選びの基準になることもあります。特定言語を選択するだけで優秀なプログラマを採用できるなら安いものです。
同じことをPaul Grahamがずっと昔に言っているのを知らないの?、と言われそうです。もちろん知っています。たとえば http://practical-scheme.net/trans/pypar-j.html などです。知っているからこそ、アリエルの 採用ページ もそうなっています。しかし、社内で使う言語は保守的なままでした。ここに関して、Paul Grahamと意見を異にする部分があるからです。
Paul Grahamは(本音は知りませんが)ソフトウェア開発は数人の凄腕ハッカーがいれば充分というスタンスに見えます。そういう開発スタイルでうまく行く分野もあると思いますが100%同意はできません。理由はソフトウェア開発は長期戦だという点に関わります。数人の凄腕ハッカーがいると一気呵成に動くモノはできます。しかし、現実のソフトウェア開発はここからが長いのです。とりあえず動く段階の品質と製品レベルの品質には大きな差があります。品質とは、単なるバグの多寡ではなく製品としての洗練度の話です。洗練させていく工程は地道な作業です。人手もかかります。このため、マイナー言語を使っても数人の凄腕ハッカーさえ雇えれば充分、という意見には納得できません。
しかし、このような事情をわかった上で20代の人たちが選んだ言語なら、それがマイナー言語に見えても正しい選択なんだと思います。なぜなら、今後増えるプログラマは若年層から生まれてくるからです。彼らが好む言語は利用者の裾野も広がり、結果的に普通のプログラマの層も増えるはずです。
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