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グルースケジューラ(glue scheduler)

プログラミングの世界には、スクリプト系言語を糊(glue)のように使いコンポーネントを結びつける、グルー言語という発想があります。 Ousterhoutの論文: http://home.pacbell.net/ouster/scripting.html 同じような発想で、世の中にあまた存在するスケジューラを糊のように結びつけるグルースケジューラというコンセプトを考えてみます。

プログラミングの世界には、スクリプト系言語を糊(glue)のように使いコンポーネントを結びつける、グルー言語という発想があります。

Ousterhoutの論文: http://home.pacbell.net/ouster/scripting.html

同じような発想で、世の中にあまた存在するスケジューラを糊のように結びつけるグルースケジューラというコンセプトを考えてみます。

最初に考えるべきは、交換データのフォーマット(スキーマまで含む広義のフォーマット)です。

ぼくが知る限り、最初の標準化の試みはiCalフォーマットです。iCal関連のrfcには次のようなものがあります。 rfc2445: スケジュールのデータフォーマット

rfc2446: 転送プロトコル(iTIP) (トランスポート層独立ですが、HTTPに乗せることを意図しています)

rfc2447: 転送プロトコル(iMIP) (トランスポート層独立ですが、mailに乗せることを意図しています)

後者ふたつは、空き時間検索をリクエスト、リプライベースで行なう通信プロトコルです。この時間帯は空いていますか、というリクエストを投げて、空いている(free)、空いていない(busy)などのリプライを返します。

これらのiCalフォーマットは、行指向のテキストフォーマットです。最近の流行りフォーマットはXMLということで、XMLベースのスケジュールフォーマットが生まれています。

xCal: http://www.calsch.org/ietf/archives/draft-ietf-calsch-many-xcal-02.html

は上記iCalを単純にXMLにマップしたフォーマットです(AirOneもこれを利用しています)。

RSS はWebサイトの要約をRDFというXMLのメタフォーマットに載せたものです。サイト要約の発行を続けていると、過去に関しては更新履歴のようになり、未来に関しては予告のようになります。これを個人の行動に適用すると、行動履歴や予定のようになります。おそらくこんな発想で、次のようなRDFベースのスケジュールデータのフォーマットが提案されています。

RdfCalendar: http://esw.w3.org/topic/RdfCalendar

RSS:event: http://web.resource.org/rss/1.0/modules/event/

もし、フォーマットを統一してデータを交換するだけでグルースケジューラを実現できるとしたら、既に実現していてもおかしくありません。なぜなら、最近の多くのスケジューラソフトは、iCalフォーマットでスケジュールをインポート、エクスポートできるからです。

寡聞にして、iCalデータを相互にやりとりして、会議の日時調整を行なったという話は聞いたことがありません。たぶん、トランスポート層(OSI的な定義ではなく、広義のデータ転送を意味するトランポート層)の選択手段が事実上メールしか無いため、iCalフォーマットを添付して相手の反応を待つより、メールで「この日、空いてますか?」と聞く方が速いためでしょう。

もうひとつの現実的なトランスポート層の選択にWebベースがあります。こっちはインフラさえ整えば未来がありそうです。各人が自分のWebサイトで予定を公開して、それに対するWebサービスが定義されていれば、予定を集めてまわることも可能です。 現時点ではこんなインフラはありません。相手の予定が公開されているWebサイトを知るには、あらかじめ相手に聞いておかないといけませんし、何よりWeb サイト上の予定を毎日更新するのは、毎日blogを書くぐらい大変な話です。そして、たとえこれらが解決したとしても、Webサイトで自分の予定を公開するのは自由人の発想です。普通のビジネスマンが、会社の会議の予定まで自分のWebサイトで公開することは遠い話だと想います(文化、習慣が変わる可能はありますが)。

最適解で無いにせよ、ボトムアップ的にセキュアなユーザグループを作れるAirOneは結構良い選択です、と言う話の展開はありえます。が、冒頭に掲げたグルースケジューラのコンセプトに従えば、みんなAirOneを使え、のような自由を奪う結論に飛びつく気はありません。

OS やエディタと同じで、スケジューラ選択にも自由があるべきです。だからこそグルーが必要なのです。AirOne v3は、Outlookとの同期機能が搭載されています。これにより、Outlook間のグルーとしてAirOneを使うことができます。普段 Outlookを使いながら、裏でAirOneを走らせておけば、会議調整などができるわけです。自分の予定なんて携帯やPDAでしか管理しない、という人も、ほとんどの携帯やPDAの予定表はOutlookと同期する機能があるはずなので、OutlookをブリッジしてAirOneに同期することで、 AirOneのグルー機能の恩恵を授かれます(Outlookの画面を見ると熱が出るという人も、Outlookの画面を見ないですみます)。理想的と言うほどでは無いですが、そこそこうまく機能しています。

2004/1/21のblogを加筆修正して公開


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